さる12月19日、金木芸能文化の最後の語り部、成田 太(なりた ふとし)氏が86歳の一期を終えられました。私どもにとっては最大の恩人の一人です。

成田氏はつい最近当館に見えられ、感慨深げに自身の展示などをご覧になられたそうで、おそらく最後のお別れに来られたのでしょう。その人となりについては、津軽三味線会館において「嘉瀬の唄人」としてご紹介していますが、今日は哀悼の意を込めて、その展示を皆様に公開します。

私にとって心残りなのは、嘉瀬に伝わる「逸子踊り」という唄があるそうで、どだればち(津軽甚句)とほぼ同じなのだそうですが、歌詞と節回しに微妙な違いがあり、吉幾三さんの父、故鎌田稲一氏がそれを得意としていて、自分は稲一さんから習ったので、体調が良くなったら歌詞をちゃんと思い出して録音しようという話をしていました。

今となっては鎌田稲一直伝の「逸子踊り」は幻になりました。また一つ、昭和の灯りが消えてしまい、惜別の思いがつのります。

これまでの多大なご恩に深く感謝し、つつしんでご冥福をお祈りします。

令和元年12月21日

津軽三味線全日本金木大会実行委員長

津軽三味線会館 館長 伊藤一弘

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